視線がずれる斜視。治るの?
人と目を合わせて会話するのって、大切なことですよね。
人と目が合う感覚は、相手の目が自分の目を見つめていると思うことから得られます。
では、話しているときに相手の視線がずれていたら?
どこを見ているのかな、話を聞いていない?と思ってしまうかもしれません。
視線(黒目の位置)は、人を印象づけるのにとても重要な役割を持っています。
この視線がずれるのが斜視です。
目が外側(耳側)にずれるのが外斜視、内側(鼻側)にずれるのが内斜視です。
横にずれる斜視のほか、上下の斜視や回旋の斜視もあります。
斜視は治るのでしょうか。
斜視の原因ははっきりしておらず、ほとんどが生まれ持った体質によるものです。
その体質自体を完全になくすことはできませんが、目がずれる頻度やずれ具合を減らすことはできます。
方法は大きくわけて言うと、①眼鏡、②手術 、③一部のケースでボトックス注射、です。
①眼鏡
眼鏡をかけることで目はピントの合った状態になります。
ときどき目が外側にずれる間欠性外斜視では、眼鏡をかけることではっきりした像が見えるようになるので、目がずれにくくなります(ずれる頻度が減ります)。
遠視が原因で目が内側に寄る調節性内斜視では、遠視のぶん目がピント調整をすることで目が寄ってしまうので、遠視矯正の眼鏡をかけることで目の位置が良くなります。
②手術
眼鏡をかけても目の位置がたびたびずれたり、ずれっぱなしならば斜視の手術を受けた方がいいかもしれません。
手術によって、目のずれ具合を減らすことができます。
具体的な手術の方法や術後の状態については、また別の記事で取り上げたいと思います。
③一部のケースでボトックス注射
小さい時から斜視があったわけではなく、大きくなってから斜視になり、ものが二重に見えるような場合には、ボトックスを目の周りの筋肉に注射する治療が有効なことがあります。
視線がずれるせいで、誤解されたり二重に見えたり疲れたりすることはあっても、得することは何もありません。
斜視は積極的に治療することをおすすめします。
赤ちゃんの視力って? 視力不良の見つけ方
赤ちゃんって、よく見えているのでしょうか?
いいえ、実は視力は、お子さんといっしょに育っていくものなんです。
生まれたての赤ちゃんの世界は、かなりぼんやり。ほとんど見えていません。
お腹の中にいるときからよく聴こえている耳と違って、見る力は、生まれてからものを見ることによって発達していくものなんですね。
赤ちゃんは生後2~3か月になると、視線が安定して(固視)、おもちゃを目で追いかけたりします(追視)。
この固視・追視が、赤ちゃんが見えているかのめやすです。
赤ちゃんと目が合っている!と思ったら、おもちゃを赤ちゃんに見せて、目で追うかを確認してみましょう。
もし生後2〜3か月になっても赤ちゃんと目が合わない、目が揺れていると思ったら、眼科を受診してください。
赤ちゃんは生まれつき片方の目が見えなかったとしても、「こっちの目が見えないよ!」と訴えることはありません。
片目が見えていればおもちゃを追いますし(固視・追視は良好です)、ふつうの赤ちゃんと何も違わない行動をします。
つまり、片目の視力不良は早くに気づかれにくいのです。
でも片目の視力不良を見つける簡単な方法があります!
それは、赤ちゃんにおもちゃを見せながら大人の手で左右片目ずつ隠して、そのときの赤ちゃんの反応を見るという方法です。
右目・左目を隠したとき、同じように嫌がるなら問題ありません。
でも例えば、右目を隠してもケロッとしているのに、左目を隠したときだけすごく嫌がる様子だったら、左目だけでものを見ているのかもしれません(右の視力不良が疑われます)。
隠す時間は一瞬で大丈夫ですので、反応の左右差を確認してください。
これは嫌悪反応の確認といって、とても簡単で特別な機器もいらない検査ですが、小児眼科医のれっきとした診察法なんです。
普通の視力検査ができるようになるのは3歳からですので、小さなお子さんをお持ちのご家庭ではぜひやってみてくださいね。